贈与?相続?事業承継税制の適用パターンを図解入りで解説します

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事業承継税制は株式を先代経営者から後継者に移転するときの税負担を軽減する制度です。

株式を移転する方法には「贈与」「相続」があります。

さらに株式の移転が行われた後に「贈与者(先代経営者)が死亡」、「贈与者(先代経営者)が死亡する前に受贈者(後継者)が死亡」、「受贈者(後継者)が贈与を受けた株式を受贈者の後継者(3代目)に贈与」・・・など様々なケースが起こりえます。

ここでは、事業承継税制がどのように適用されていくのか、ケース毎に見ていきます。

なお、それぞれのケースを見るにあたっては下記の表を参考にすると理解しやすいので、随時参考にしてください。

ケース1
「1代目から2代目へ相続」→「2代目から3代目へ相続」で承継

このケースでは、先代経営者(1代目)の死亡に伴う相続税の申告(図①)に際し、後継者(2代目)が株式について相続税の納税猶予の適用を受けます。

その後、後継者(2代目)が死亡すると(図②)、後継者(2代目)が猶予されていた相続税が免除されます(図③)。

後継者(2代目)の死亡により次の後継者(3代目)は後継者(2代目)が所有していた株式を相続することになりますが、その株式について相続税の納税猶予を受けることも、受けないことも可能です(図④)。

ケース2
「1代目から2代目へ相続」→「2代目から3代目へ贈与」で承継

このケースでは、先代経営者(1代目)の死亡に伴う相続税の申告に際し、後継者(2代目)が株式について納税猶予の適用を受けます(図①)。

後継者(2代目)は先代経営者(1代目)の相続税の申告期限から5年経過後に、次の後継者(3代目)に相続税の納税猶予の適用を受けていた株式を贈与します(図②)。

次の後継者(3代目)が後継者(2代目)から贈与を受けた株式に係る贈与税について納税猶予の適用を受ける場合には(図④)、後継者(2代目)は納税猶予されていた相続税が免除されます(図③)。

ケース3
「1代目から2代目へ贈与」→「1代目死亡」で承継

このケースでは、先代経営者(1代目)が後継者(2代目)に株式を贈与して、2代目はその株式の贈与について贈与税の納税猶予の適用を受けます(図①)。

その後、先代経営者(1代目)の死亡(図②)により、後継者(2代目)は猶予されていた贈与税が免除されます(図③)。

先代経営者の死亡に係る相続税の申告に際して、後継者(2代目)は相続により取得した財産に加えて、「贈与税の納税猶予の適用を受けていた株式を相続により取得したものとみなして」相続税の計算を行います(図④)。

なお、「相続により取得したものとみなされた株式」は相続時の価格ではなく、「贈与をされたときの価格」で計算されます。

後継者(2代目)は「相続により取得したものとみなされた株式に係る相続税」について、納税猶予の適用を受けることも可能であり、受けないことも可能ですが、通常は納税猶予の適用を受けると考えられます。

後継者(2代目)が「相続により取得したものとみなされた株式に係る相続税」について納税猶予の適用を受けた場合には、後継者(2代目)が死亡したときあるいは後継者(2代目)が納税猶予を受けている株式を後継者(3代目)に贈与して後継者(3代目)が納税猶予の適用を受けたとき(図⑤)に、後継者(2代目)は納税猶予されていた相続税額を免除されます(図⑥)。

ケース4
「1代目から2代目へ贈与」→「2代目から3代目へ贈与」→「1代目死亡」で承継

このケースでは、先代経営者(1代目)が後継者(2代目)に株式を贈与して、2代目はその株式の贈与について贈与税の納税猶予の適用を受けます(図①)。

贈与税の申告期限から5年経過後、先代経営者(1代目)が死亡する前に後継者(2代目)は納税猶予の適用を受けていた株式を、次の後継者(3代目)に贈与します(図②)。

次の後継者(3代目)が後継者(2代目)から贈与を受けた株式に係る贈与税について納税猶予の適用を受ける場合には(図④)、後継者(2代目)は納税猶予されていた贈与税が免除されます(図③)。

その後、先代経営者(1代目)が死亡すると(図⑤)、後継者(3代目)は納税猶予されていた贈与税を免除されますが(図⑥)、後継者(3代目)が納税猶予の適用を受けていた株式を先代経営者(1代目)から相続により取得したものとみなして、先代経営者(1代目)の相続税の計算をします(図⑦)。

なお、「相続により取得したものとみなされた株式」は相続時の価格ではなく、「先代経営者(1代目)が後継者(2代目)に贈与をしたときの価格」で計算します。

後継者(3代目)は「相続により取得したものとみなされた株式に係る相続税」について、納税猶予の適用を受けることも可能であり、受けないことも可能です。

ケース5
「1代目から2代目へ贈与」→「2代目死亡」→「1代目死亡」で承継するケース

このケースでは、先代経営者(1代目)が後継者(2代目)に株式を贈与して、2代目はその株式の贈与について贈与税の納税猶予の適用を受けます(図①)。

その後、先代経営者(1代目)より先に後継者(2代目)が死亡(図②)すると、後継者(2代目)が猶予されていた贈与税は免除されます(図③)。

後継者(2代目)の死亡により次の後継者(3代目)は後継者(2代目)が所有していた株式を相続することになりますが、その株式について相続税の納税猶予を受けることも、受けないことも可能です(図④)。

その後先代経営者(1代目)が死亡しても、株式について相続税の申告をする必要はありません。

まとめ

事業承継税制は株式を次世代、さらにその次の世代に引き継いでいく長期間にわたり適用される税制です。

そのため事業承継税制の適用については、企業の経営動向や親族の状況がどのように推移していくのかということを何十年という単位で想定して検討しなければなりません。

そのうえでこれまで見てきた事業承継税制のパターンのうちどのパターンを適用するのか、あるいは適用される可能性があるのかを検討する必要があります。

当事務所では事業承継税制について相談を承っていますのでお気軽にご相談ください。

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