事業承継税制の先代経営者と後継者の要件について解説します

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2017年までの事業承継税制(一般措置)では「先代経営者」からの株式の取得のみが納税猶予の対象とされていました。

2018年に事業承継税制が改正されて(特例)、「先代経営者以外の株主」からの株式の取得についても納税猶予を適用できるようになっています。


中小企業庁「平成30年度中小企業・小規模事業者関係 税制改正について」より

しかし、ただ単に株式を取得すればいいという訳ではなく、「先代経営者」から「後継者」が株式を取得した後でなければ、「先代経営者以外の株主」からの株式の取得について納税猶予を適用することはできないとされています。

では「先代経営者」とは具体的にどのような人を指すのでしょうか?

また、先代経営者から株式を取得できる「後継者」とはどのような人を言うのでしょうか?

ここでは、納税猶予の対象となる「先代経営者」に該当するための要件、納税猶予を受けることが出来る「後継者」に該当するための要件について解説します。

先代経営者の要件

納税猶予の対象となる先代経営者は下記の全ての要件を満たさなければなりません。

(1) 議決権保有要件

1)贈与の場合

「代表者であったいずれかの時」および「贈与の直前」どちらにおいても

(イ)同族関係者と合わせて50%超の株式を保有している

(ロ)同族関係者の中で筆頭株主である

 

(※)同族関係者とは次の者を言います。

a)代表者の親族(親族についてはこちらが分かりやすいです)

b)株主等と事実婚の関係にある者

c)代表者の使用人

d)代表者から受ける金銭等によって生計を維持している者

e)上記a)からd)の者と生計を一にするこれらの者の親族

f)代表者と上記a)からe)の者で50%を超える株式を保有する会社

g)代表者と上記a)からf)の者で50%を超える株式を保有する会社

h)代表者と上記a)からg)の者で50%を超える株式を保有する会社

 

2)相続の場合

「代表者であったいずれかの時」および「相続開始の直前」どちらにおいても

(イ)同族関係者と合わせて50%超の株式を保有している

(ロ)同族関係者の中で筆頭株主である

つまり、贈与・相続開始の直前で下記のような状態でなければ納税猶予を適用することはできません。

⑵ 代表権保有要件

1)贈与の場合

(イ)過去に会社の代表者であった

(ロ)贈与の時には代表権を返上している

2)相続の場合

会社の代表者であった

※相続の開始の時に代表権があってもなくてもどちらでもかまいません。

後継者の要件

事業承継税制が改正されて複数の後継者が納税猶予を受けることが可能となりましたが、実際そのようなケースはあまりないと考えられますので、ここでは後継者は一人だけという前提で解説したいと思います。

後継者が満たさなければならない要件をまとめたのが次の表です。

 

(1)議決権保有要件については、先代経営者の要件の「贈与の直前」「相続開始の直前」という箇所が「贈与後」「相続開始後」に置き換わっただけです。

つまり、後継者は「贈与後」又は「相続開始後」に下記のような状態ではなりません。

 

⑵代表権保有要件については、相続の場合、相続開始から5か月以内に後継者は代表権を有していなければならないことに注意しなくてはなりません。

相続開始の時に代表権を有してない後継者が納税猶予を受ける場合には、相続開始から5か月以内に代表者に就任する必要があります。

 

⑶役員要件については、贈与の場合、後継者は「贈与の日まで引き続き3年以上役員である」必要があるので、現在、後継者が役員でない場合には少なくとも3年は贈与による納税猶予は適用できないことになります。

近いうちに贈与の納税猶予を適用したいと考えている場合で後継者が役員でないときには、役員に就任する手続きをすすめたほうがいいでしょう。

また相続については、後継者が相続開始の時に役員でない場合は、相続開始後に納税猶予の適用を受けようとしても受けることはできません。

贈与・相続どちらにせよ納税猶予の適用の「可能性」があり、現在後継者が役員でないときは、後継者を役員にする手続きだけはしておいた方がいいでしょう。

まとめ

先代経営者と後継者の要件を見てきましたが、満たすのが難しい要件はないという印象を持った方も多いのではないでしょうか?

ただし事前に体制を整えていないと、いざ納税猶予を適用しようとしても適用できないということもありますので、先代経営者・後継者の要件を理解したうえで納税猶予を適用することができるようにしておくことが大切です。

当事務所では事業承継税制について相談を承っていますので興味のある方はお気軽にご相談ください。

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