猶予税額が免除されるには?パターン別に解説します

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事業承継税制を適用することにより、先代経営者から相続・贈与により取得した株式に係る相続税・贈与税について納税猶予を受けることが可能です。

猶予された相続税・贈与税は一定の事由が生じた場合には免除されます。

ここでは先代経営者や後継者の死亡、後継者から次の後継者への株式の贈与などで相続税・贈与税が免除される場合について解説します。

1 相続税が免除される場合

(1)後継者(2代目)が死亡した場合

先代経営者(1代目)から相続・遺贈により取得した株式に係る相続税ついて納税猶予の適用を受けている後継者(2代目)が先代経営者より先に死亡した場合には、後継者(2代目)は猶予されている相続税が全額免除されます。

なお、後継者(2代目)から株式を相続・遺贈により取得した後継者(3代目)は、その株式に係る相続税について納税猶予の適用を受けるか否かは任意です。

(2)後継者(2代目)が株式を後継者(3代目)に贈与して納税猶予を受ける場合

先代経営者(1代目)から相続・遺贈により取得した株式に係る相続税について納税猶予の適用を受けている後継者(2代目)が、特例期間経過後に株式を後継者(3代目)に贈与して、後継者(3代目)がその株式に係る贈与税について納税猶予の適用を受ける場合、後継者(2代目)は猶予されていた相続税額のうち後継者(3代目)に贈与をした株式に対応する相続税額(具体的には次の算式により計算した金額となります)が免除されます。

免除される相続税額  A×(B/C)

A:後継者(2代目)が猶予されていた相続税額

B:後継者(2代目)が後継者(3代目)に贈与をした株式の数

C:後継者(2代目)が納税猶予の適用を受けていた株式の数

(具体例)

発行済株式数60株

当初保有株式数  先代経営者(1代目)50株 後継者(2代目)10株 後継者(3代目)0株

先代経営者(1代目)は2027年12月31日までに亡くなり、後継者(2代目)が50株を相続します。

2027年12月31日までの相続であれば事業承継税制の特例の適用が可能であり、後継者(2代目)は50株全てに係る相続税(3,000万円とします)について納税猶予の適用を受けることが可能です。

特例期間経過後(2028年1月1日以後)に後継者(2代目)が後継者(3代目)に株式の贈与をします。

2028年1月1日以後の株式の贈与の場合、事業承継税制の特例の適用は受けられませんが、事業承継税制の一般措置の適用を受けることはできるため、後継者(2代目)が後継者(3代目)に贈与する株式数は、事業承継税制の一般措置の場合の上限株式数(40株=60株(発行済株式数)×2/3)とします。

この場合、後継者(3代目)が贈与により取得した40株に係る贈与税ついて納税猶予(一般)の適用を受けることを条件として、後継者(2代目)は猶予されていた相続税額3,000万円のうち、

3,000万円×(40株/50株)=2,400万円

が免除されます。

また、後継者(2代目)が相続税の納税猶予の適用を受けていた50株のうち後継者(3代目)に贈与しなかった10株に係る相続税については引き続き納税猶予(特例)が継続され、後継者(2代目)の死亡時に免除されることとなります。

2 贈与税が免除される場合

(1)後継者(2代目)が死亡した場合

先代経営者(1代目)から贈与により取得した株式に係る贈与税ついて納税猶予の適用を受けている後継者(2代目)が先代経営者より先に死亡した場合には、後継者(2代目)は猶予されている贈与税が全額免除されます。

なお、後継者(2代目)から株式を相続・遺贈により取得した後継者(3代目)は、その株式に係る相続税について納税猶予の適用を受けるか否かは任意です。

(2)後継者(2代目)が株式を後継者(3代目)に贈与して納税猶予を受ける場合

先代経営者(1代目)から贈与により取得した株式に係る贈与税について納税猶予の適用を受けている後継者(2代目)が、特例期間経過後に株式を後継者(3代目)に贈与して、後継者(3代目)がその株式に係る贈与税について納税猶予の適用を受ける場合、後継者(2代目)は猶予されていた贈与税額のうち後継者(3代目に)贈与をした株式に対応する贈与税額(具体的には次の算式により計算した金額となります)が免除されます。

免除される贈与税額  A×(B/C)

A:後継者(2代目)が猶予されていた贈与税額

B:後継者(2代目)が後継者(3代目)に贈与をした株式の数

C:後継者(2代目)が納税猶予の適用を受けていた株式の数

(3)先代経営者(1代目)が死亡した場合

先代経営者(1代目)が死亡した場合、後継者(2代目)は猶予されていた贈与税額のうち次の算式により計算した贈与税額が免除されます。

免除される贈与税額  A×(B/C)

A:後継者(2代目)が猶予されていた贈与税額

B:後継者(2代目)が納税猶予の適用を受けていた株式の数

ただし、先代経営者(1代目)が死亡する前に後継者が上記(2)の贈与をしていた場合には、その贈与をした株式の数を除きます。

C:後継者(2代目)が納税猶予の適用を受けていた株式の数

(4)(2)と(3)の具体例

発行済株式数60株

当初保有株式数  先代経営者(1代目)50株 後継者(2代目)10株 後継者(3代目)0株

先代経営者(1代目)は2027年12月31日までに後継者(2代目)に50株を贈与します。

2027年12月31日までの贈与であれば事業承継税制の特例の適用が可能であり、後継者(2代目)は50株全てに係る贈与税(3,000万円とします)について納税猶予の適用を受けることが可能です。

特例期間経過後(2028年1月1日以後)に後継者(2代目)が後継者(3代目)に株式の贈与をします。

2028年1月1日以後の株式の贈与の場合、事業承継税制の特例の適用は受けられませんが、事業承継税制の一般措置の適用を受けることはできるため、後継者(2代目)が後継者(3代目)に贈与する株式数は、事業承継税制の一般措置の場合の上限株式数(40株=60株(発行済株式数)×2/3)とします。

この場合、後継者(3代目)が贈与により取得した40株に係る贈与税ついて納税猶予(一般)の適用を受けることを条件として、後継者(2代目)は猶予されていた贈与税額3,000万円のうち、

3,000万円×(40株/50株)=2,400万円

が免除されます((2)参照)。

また、後継者(2代目)が贈与税の納税猶予の適用を受けていた50株のうち後継者(3代目)に贈与しなかった10株に係る贈与税については引き続き納税猶予(特例)が継続されます。

先代経営者(1代目)の死亡時に、上記の引き続き納税猶予(特例)の適用を受けていた10株に係る贈与税額

3,000万円×{(50株-40株)/50株}=600万円

が免除されます((3)参照)。

その際に後継者(2代目)はその10株を先代経営者(1代目)より相続により取得したものとみなされますが、その10株に係る相続税額について納税猶予の適用を受けることも可能です。

3 まとめ

今まで見てきた通り納税猶予された税額が免除されるまでには様々なケースがあり、先代経営者(1代目)から後継者(2代目)への株式の移転だけでなく、後継者(3代目)までどのように株式を移転するかということについても考慮しなければなりません。

当事務所では次々世代までの承継も視野に入れた事業承継税制についての相談を承っていますので興味がある方はお気軽にご相談ください。

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